43      ソルトレークとずるシャモ
 
 冬季オリンピックの開催まで一週間を切り、例によって各メディアはオリンピック向けの取材に本腰を入れはじめた。メディアの最先鋒であるテレビがソルトレークに本腰を入れることによって、当のテレビは言わずもがな、テレビを見る視聴者の関心も冬季オリンピックに移る。昨日きょうは外務省、橋本派・自民党議員Sはけしからん、真紀子さん可哀想などとのたまっていた方々の興味も、テレビの報道と共に移っていく。
 
 ニュースの持つ宿命とでもいうか、ある事柄から腰を引くと、それまで本腰を入れていたはずの事が途端に弱腰、逃げ腰、砕け腰となる。これを私は三腰と呼んでいるが、この3つの腰はデパートには売っていない。
 
 自民党議員Sは橋本派内での評判は上々であるらしく、それというのも、Sは他の議員が口に出したくとも出せない事を白昼堂々と言うからであり、あの強引さでどこからともなく金を集めてくるからである。自民党議員のほとんどは、われわれの税金からまかなわれる給料ではやっていけないので(私設秘書数人への報酬や事務所他の維持費のため)、自前の後援会主催のパーティを開いて金集めをするが、それでも足りない。この不景気である、以前のように人は来ないだろう。
 
 そこで蛇の道はヘビというわけなのだが、自分で頭を下げて金集めするのはどうもという議員にとって、Sは重宝なのである。橋本派の大幹部や派内の議員の多くが、Sをかばったり、見て見ぬふりをするのはそういうわけなのである。一言でいうなら、金に縛られているのですナ。
 
 さて、冒頭にも書いたように、もうすぐ冬季オリンピックの幕が上がる。報道合戦にも熱が入り、国民の関心もおのずとそちらにいく。4年前の長野のジャンプのような感動があるかどうかは分からないが、原田、船木、葛西も健闘するであろうし、清水も腰痛が癒え、期待にこたえてくれるかもしれない。
 
 私は思うのだ、議員や官僚に彼らほどの強いチャレンジ精神とまっすぐな心があり、また、メディアに彼らほどの強い腰があり、国民に彼らほどに、めったなことではあきらめない不屈の精神を発揮してくれれば、状況は変わったものになるに違いないと。
 
 議員Sは、間違いなくソルトレークを待っている。それまで時間かせぎをしているのである。だから、テレビカメラからもプレスの取材からも逃げ回っているのだ。冬季オリンピックがはじまったら、国民の関心はそっちに移ることを承知の上での時間かせぎ。ソルトレークが白熱してくれば、国民はSのことなど忘れるか、諦めるかのどっちかであると読んでいて、その日の来るのを待っているのである。
 
 あなた、こんなずるシャモ、許せますか。
 
 
 
更新日時:
2002/02/03
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