42      塩の徳
 
 前回「ソルトレーク」を書いたから塩に関係のあることを書こうと思った次第。
 
 小泉さんが首相になり組閣をしたら、小泉さんの大番頭的存在である塩川さんが財務大臣に就任した。塩川さんについては、エッセイ・4月25日の「大参謀」で少しだけふれたので重複は避けるが、塩川さんの大臣就任直後のことを記憶にとどめている方もいるだろう。
 
 あの時、外務省のノン・キャリア組の機密費使い込みと横領問題で、官邸と外務省のなれあいが指摘された。かつて塩川さんの官房長官時代、官房機密費の一部を野党政策、つまり野党議員との飲食代その他に使った旨をテレビのインタビユーで答えていたのだが、その件に関して、国会だったか、国会の委員会だったかで、共産党の穀田氏の質問に対して、塩川さんが「忘れました」と答弁したことがあった。
 
 塩川さんらしい、なんともいいいようのない素っとぼけぶりがあまりに面白くて、テレビの前にいた御人の中には、声を立てて笑った人もいたであろう。塩川さんの隣にいた扇・国土交通大臣などは、大きな目がお皿になっていた。
 
 アレ、塩川さんだからよかったのである。他の人であったら大変、まずテレビ、新聞が大騒ぎして、やれアンケート調査だの、○○取材などと、国民を巻き込み、上を下への大騒動となっていただろう。野党からも即時に不信任案が提出されたであろう。塩川さんの徳ゆえ大事に至らず、まあるく収まったのではないだろうか。人徳というのは、ああいうところで日の目を見るんですナ。ふだんは居眠りしております、徳などという古くさいものは。
 
 ああいう時に、徳のある人は得をする。橋本派議員のSとはえらい違いであります。
 
 
 
 
更新日時:
2002/02/05
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