3      仁左衛門と小泉さん
 
 先日、長いメールが舞いこんだ。サイト検索と絞り込み検索を幾度か繰り返し、かなり苦労されて小生のホームページを訪問された女性からのメールだった。
 
 その方と小生のHPをむすぶキーワードは歌舞伎と片岡仁左衛門、そして小泉純一郎だそうである。小泉さんの歌舞伎好きはつとに有名で、総理就任後も時々歌舞伎座に行くと仄聞する、贔屓役者の名は知らないが。
 
 読者におかれてはなぜ「仁左衛門と小泉さん」がと思われるだろう、私もそう思った。その方の言によると、拙文「仁左衛門の心技体」(「歌舞伎評判記U」)のなかの「仁左衛門」を「小泉さん」に、「至芸」を「決断」に、「ハラ(心の在りよう)」を「心」に、「名優」を「名政治家」に置きかえると、目の前がパッとひらけたという。
 
 至芸‥決断‥はある日、何の前ぶれもなく突然天から降ってくるとか、苦悩のなかでのみ魂は血路をひらくとかの表現が、今回の安倍さんの幹事長抜擢にいたる小泉さんの心の動きと呼応するとその方は述べておられる。
 
 さらに拙文を引用して次のように書かれていた。
 
 「名優=名政治家が舞台に立つとき、見物=国民が明るいひかりに包まれることがあり、研鑽に研鑽を重ね、精進に次ぐ精進の日々を送ってきても」、人はなかなか認めてはくれません。「試練とはいうものはそういうものであり、名優は最初から名優として在るのではなく、苦悩と試練を経て名優に成る」ように思います。政治家もまた試練を経て名政治家に成るのではないでしょうかと。
 
 komoriさんの文章は多くの示唆に富んでいて、仁左衛門と小泉さん贔屓の自分としてはわが意を得たりの気持でいっぱい、水をえた魚の気分ですとのおほめのことばも頂戴した。
おそれ入ったのは、「komoriさんには千両役者願望がおありなのかもしれないですね」というくだりだった。小文「千両役者になれるか小泉純一郎」(「エッセイ」01年4月25日)を前提にしての言です。
 
 今度生まれかわったら千両役者になりたいですが、それは無理としても、千両欲しいと思ったことは何度もあります。千両役者願望というよりは、千両願望というほうが当たっていると思います。
 
 ほかにも思いがけないことをお書きいただき、すべて紹介したいのですが、ご本人のご意思を尊重してこれくらいにしておきます。
「仁左衛門の心技体」に関しては、ほかにも小生を激励、鼓舞するメールを何通か戴きました。感謝しています。ありがとうございました。
 
更新日時:
2003/09/25
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