13      SARS
 
 今年もゴールデン・ウイークの季節がやってきました。年に一度の大型連休(今年は休日のつながりが悪いですが)、待ちに待った旅行に出発する家族も多いでしょう。何が何でも計画通りに実行する、それなくして何がゴールデン・ウイークさ、半年も前からプランを立てていたのよ!
 
 ごもっとも、ごもっとも、香港、北京、etc。現地の土産物屋、レストランは心からみなさんのおいでをお待ちいたしておりましょう。そこへSARS、招かれざる客のお出ましです。何がSARSなの、SARSなんかに感染するのはよっぽど運の悪い人じゃないよ、たかがSARS、それしきの事で前々から楽しみにしていた家族旅行をおじゃんにできるものですか!
 
 というわけで、プレスなどのメディアによると、成田や関空から多くのご家族がお出かけになるとのことです。この時期旅に出ない人から見れば随分と奇異な行動と申しましょうか、勇気、いや、蛮勇と申し上げたほうがよいのかもしれません。
 
 中国という国は、あまり大きな声では申し上げられませんが、SARSであろうがAIDSであろうが、それが原因で死者が出ても、死者の数が数千人とか数万人規模にならないと動きださない国です。五十人や百人では深刻にならない。毎年洪水や何やで数千人〜数万人が死ぬ。人口は13億。
 
 それとこれとは別ではないかと言われるのですね。ところがお立ちあい、別ではないのです。そこが中国政府の大きさ、こまかい数字は気にしません。こんなことは中国を知る者なら常識中の常識です。
それがなぜ問題になったか、いや、問題にしたかといいますと、国際社会とWHOが騒いだから仕方なく中国政府は急いで担当者の首を切り情報公開しはじめた。なに、情報が正確かどうかは誰にも分かりません。
 
 ところで、もし旅先でSARS感染したらどうするのでしょうか。こういう手合いは決して自分を愚か者とは思いません。ではどう思うか。運が悪かったと思うのです。本当のバカは自分がバカだという認識に欠けるのです。
賢者は自分の愚かさも失敗も記憶のなかにとどめていて、同じあやまちは繰り返すまいと思っています。事前に手を打つことを知っているのです。
 
 愚かな自分を見張っているもうひとりの自分‥を持つ人と持たぬ人、この差は大きいのではないでしょうか。SARSに感染しても発病しなければ問題ないと考えているむきもおありでしょうがさにあらず、たとえ君が発病しなくても、君がSARSをうつした相手が発病することはあるのです。
 
 なに、大丈夫、心配は杞憂に終わる、案ずるより生むがやすし、旅といってもすぐ帰国するわけだし‥。とんでもない、生まれたらたいへん、君が隔離されて事が終わるというような問題ではないでしょう。
 
 これ以上くどくど申しますまい。香港、北京方面へご旅行される方、くれぐれもご無事で。こいねがわくば土産と一緒にSARSのお持ち帰りなど決してなさらぬように。
更新日時:
2003/04/27
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