ムーティ&ウィーン・フィル
ムーティ&ウィーン・フィル
 1941年イタリア・ナポリ生まれ。ミラノ・スカラ座音楽監督として名をはせた。ウィーン・フィルとの共演も多く、93,94、2000年のニューイヤーコンサートも指揮。まあ、写真でもその華々しさというか高慢さがよく出ているように思います。
 
 99年3月21日京都コンサートホールでのウィーン・フィルとのカップリングということで、高い料金払って聴きに行きました。オール・モーツアルト・プログラムで交響曲第38番「プラハ」、交響曲第36番「リンツ」、そして交響曲第40番。
 
 チケットが高いのはいつもの事で、何故ウィーン・フィルやベルリン・フィルの来日公演がこんなにも高いのかと、感嘆の声の替わりにため息が洩れるのです。
ウィーンの楽友協会の大ホールでウィーン・フィルを聴いた時(96年10月)は、一番高い席でも7000円しなかったのにと思いましたね。その時はニコラウス・アーノンクールの指揮で、イタリアのディーヴァ(歌姫)、メゾのチェチーリア・バルトリの出演もあって7000円弱であったのです。
 
 この日の京都コンサートホールは29000円〜10000円。わたしは10000円の席で十分でしたが、あいにく10000円のチケットは電話予約5分で完売。仕方なく15000円のチケットを買いました。
 
 で、演奏のほうはどうだったかと言いますと、これが実につまらなかった。モーツアルト・ファンにはまことに申し訳ありませんが、上記の交響曲では正直いって急所に届きません。きれい、美しいとは思わないでもないのですが、怒濤の感動からはちょっと遠い。
 
 わたしにとって名指揮、名演奏とは、自分自身の身体が熱くなり、精神の高揚があり、そして、私自身の心が解放されるということなのです。しかし、このムーティという人、自分を見せるのに熱心で、客に感動を与えるという姿勢が稀薄です。
客はなにも貴方を見に来たのではない、ウィーン・フィルのモーツアツトを聴きに来たのです。高揚と解放を求めて。
 
もっとも、ご婦人、とりわけ熟年女性の中には、この人を見にきたという方もいらしたと思います。性的魅力もありますし。そのこと、このムーティも十分意識しているから、ああいう力のはいっていない指揮が出来るんでしょうか。力はどこに入っているの?、全然違うところに力を入れてもツマラナイのです。
 
ウィーン・フィルの日本公演は、小沢さんの指揮が一番よいようです。

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