ブルゴス&ベルリン放響
ブルゴス&ベルリン放響
フリューベック・デ・ブルゴスはスペインの古都ブルゴス生まれ。ドイツ系のスペイン人である。ドイツの荘重とスペインの情熱を併せ持つ指揮者として、ベルリン・ドイツ・オペラの音楽総監督、ウィーン交響楽団とベルリン放送交響楽団の主席指揮者を兼任している。
 
1997年11月3日大阪シンフォニーホールでブルゴス&ベルリン放送交響楽団のブラームス「交響曲第3番」、「交響曲第1番」を聴いた。
まず、第3番。わたしはこの3番が大好きで、聴く前からかなり緊張していたのだが、この曲の劇的ともいえる大きなスケールの中に横たわるメランコリーを、ブルゴスが見事に表現したのには深い感銘をおぼえた。
 
圧巻は第三楽章で、黄昏の中に佇むブラームスが、自らの心の声をきかせようとする姿が浮かんできた。壮麗さ、風格も十分で、ちょっと文句のつけようのない第3番だった。ブルゴスのスコアの読みの深さを強烈に感じた。
 
第1番もブルゴスは確信に満ちた表現力で指揮し、ブラームス作品に潜む細部までを精妙に描写したように感じた。第3番も第1番もスコアなしで指揮するという事は、単に自信のあらわれのみならず、自分の手の内、身体の一部と化しているのであろう。
 
アンコール1曲目は「ハンガリー舞曲」。ハンガリーのダンスを本場で生で見るがごとく、若いダンサーの姿が浮かんでは消え、消えては浮かび圧倒された。ますますこの曲が好きになってしまった。

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